良性脳腫瘍
患者さんの神経機能の温存を特に重視し、安全な手術を行っています。さきほど、悪性脳腫瘍の部分でも記載しましたように、このためには、ニューロナビデーションシステムの使用や神経機能モニタリングが不可欠です。当科は神経機能モニタリングの経験が豊富であり、患者さんの生活の質を保っています。いくつか典型的な症例をお示します。
48歳男性。 いつも頭痛がしていた、最近仕事の能率が悪くなったという訴えがあります。 MRIで脳腫瘍と診断しました、大きな髄膜腫といわれる主要です。 髄膜腫はゆっくりと大きくなる良性脳腫瘍です。 前頭部にできると認知症様症状を出すことが多いことが知られています。 開頭術により全摘出することができました。 |
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42歳女性。 認知症様症状(物忘れ、会話がとんちんかん)で発症されました。このため某精神科病院に入院されていましたが、MRIで脳腫瘍と診断されました。大きな髄膜腫です。 ゆっくりと大きくなる良性脳腫瘍、前頭部にできると認知症様症状を出すことが多い。 開頭術により全摘出することができました。 |
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29歳代の女性です。 過去に生じた右側頭葉の出血(原因は血管腫という血管の腫瘍)のため、左下同名四半盲があります。今回、左後頭葉に出血(原因は血管腫)をおこしました。 左後頭葉の血管腫による出血が増大した場合、今度は右同名半盲が生じる可能性があります。視機能を維持して、手術による摘出術を施行する方針としました。 術前にMRIで神経線維の走行(この症例では視放線、視覚路)を調べました。右のMRIの赤い線です。幸いなことに血管腫の前方に視放線、視覚路があることが分かり、血管腫を全摘出することができました。 血管腫は、本症例のように多発することがあります。 |
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