脳血管内治療

脳血管内治療とは

脳血管内治療は、近年各種デバイスの進歩と共に脳卒中の病態解明が進んだことによって、ここ10年で最も進歩した分野の一つです。その方法は足の付け根,肘の内側,手首の血管など,体の表面近くを通る太い血管からカテーテルを挿入し,大動脈を通じて脳の血管まで進めます。その中にさらに細いカテーテルを入れ,疾患のある部位に誘導し,様々な道具:コイル,バルーン,ステントや薬品:塞栓物質などで治療を行います。従来は開頭術のみでしか行えなかった治療が、頭を切らずに行うことができるようになりました。また、従来の開頭術では治療が難しかった疾患が、脳血管内手術で治療が可能になりました。帝京大学医学部脳神経外科では、これまで行ってきた開頭による手術に脳血管内手術を治療の選択肢に加えることにより、最先端の治療を皆様に提供していきます。
脳動脈瘤(破裂・未破裂)のコイル塞栓術、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻に対する塞栓術や閉塞性脳血管障害(頚動脈・頭蓋内主幹動脈の狭窄病変)・頸動脈狭窄症、脳血管狭窄症に対して血管拡張術・ステント留置術等の脳血管内治療を行っております。セカンドオピニオンにも対応しております。
以下、これら脳血管内治療の方法及び対象となる疾患それぞれについて簡単に説明します。

1 未破裂・破裂脳動脈瘤の治療

主にプラチナで出来たコイルで動脈瘤内を塞栓する方法です。使用するカテーテルは0.7mmほどの細さで使用するコイルは0.2-0.3mmぐらいの細く柔らかいものです。この方法により未破裂脳動脈瘤の方はほとんどの方が1週間以内で退院していただけます。
破裂脳動脈瘤(クモ膜下出血)の方の場合でもこの治療法が行えた場合は、非常に患者さんが受ける侵襲(ストレス)が少ないために良好に回復される方が増えました。また、近年、下図左に示しましたようにステントを用いて脳動脈瘤の塞栓術を行う場合も多くなってきています。
このように頭を開けずに治療ができる素晴らしい方法ですが、常に簡単で安全というわけではありません。もともといつ破裂するか分からない危険な動脈瘤である上に非常に細かい作業ですのでその分難しく、大きな合併症や死亡につながる危険が伴う場合もあり得ます。どうぞ担当医と納得がいくまでよく御相談下さい。
代表例をお示します。内頚動脈の動脈瘤例です。コイル留置により動脈瘤が閉塞しているのがわかります。

術前 術中 術後
2 頸部や脳内の主要血管の狭窄が原因となる脳梗塞

血管の狭窄病変に対しては主に血管の中からバルーンつきのカテールで血管を拡張する方法(血管拡張術)や、最近ではステント(金属のメッシュ状の筒)を留置する方法(ステント留置術)を行います。
ステントの例を示します。(http://www.bostonscientific.com/jp-JP/health-conditions/cas/cas-05.htmlより引用)

代表例をお示します。内頚動脈の高度狭窄例です。ステント留置により内頚動脈の十分な拡張が得られています。

術前 術後
3 心臓や血管壁から血栓が飛び脳の血管が閉塞することで起こる脳梗塞

心臓や血管についた血栓が飛んで脳の血管に詰まる脳塞栓症に対しては、詰まった場所までカテーテルを進めその部位の血栓を溶かす薬を注入したり、ペナンブラというデバイスにて硬い血栓を吸引する方法,ステントリトリーバーを用いて血栓を回収して詰まった血管を再開通させることができます。
この疾患は脳卒中センターに取り扱うことになりますが、内科的疾患を多数併発されているご高齢の方が多いので、神経内科をはじめ当院に多数揃っている各科専門医と緊密な連携を持って診療に当たることになります。

4 脳動静脈奇形、脊髄動静脈奇形

脳内や脊髄内にある動脈と静脈の吻合が生じ(短絡:我々はシャントと呼びます)、正常な脳や脊髄の循環代謝に障害を生じることがあります。症状として脳出血、くも膜下出血、てんかん発作、麻痺などが生じ、脊髄では両側下肢の運動麻痺や感覚障害、膀胱直腸障害などさまざまな神経症状を起こします。治療法としては脳血管内治療、開頭摘出術、放射線治療(サイバーナイフ)があり、それぞれの患者さんごとにこれらの治療法を選択します。
脳血管内治療は開頭手術や放射線治療との組合せで行われるのが通常です。血管の中から異常血管の部分にマイクロカテーテルを誘導し、血管を塞栓する物質(NBCA, Onyxなどがあります)にて出血しやすい部位を処理し、あとに続く開頭手術や放射線治療をより効果的にするために有効とされています。担当される先生から治療方針、合併症などご相談ください。

5 硬膜動静脈瘻

脳を覆っている硬膜の動脈や静脈にシャント(短絡:つながり)が生じる疾患で、認知障害、頭痛、血管性雑音による耳鳴り、眼球結膜充血、眼球突出、クモ膜下出血、脳内出血などその臨床症状はさまざまです。なかなか正確な診断のつきにくい病気の一つで一般には稀ですが脳血管内治療によって70-80%は治癒させることができます。また、この疾患は認知症で発症することもあり注意が必要となります。

6 脳腫瘍、その他

血管の豊富な脳腫瘍で、開頭手術にて摘出を要する症例では、あらかじめ腫瘍内の血管を塞栓しておくことで手術が非常にやりやすくなる場合があります。この場合の脳血管内治療の目的はあくまで出血を最小にすることです。また選択的に腫瘍を栄養する血管に抗癌剤を注入し治療する場合があります。
慢性硬膜下血腫は通常は穿頭手術に治療しますが、中にはそれのみでは再発を防げない場合があります。その場合は硬膜にいく血管に塞栓術を行いよくなる場合があります。
さらにはクモ膜下出血後の血管攣縮(けっかんれんしゅく)や血管解離に対する治療、大きな動脈瘤などに対する親血管閉塞試験など、幅広く脳血管内治療を行っています。

当科では、これら最良の治療を提供すると同時に、患者さんのQOL(生活の質)を非常に重視しており、外来診療〜血管内治療〜その後のフォローアップまで一貫したコンセプトにてチームにて診療にあたっております.安心して受診してください。

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