聴神経腫瘍・頭蓋底髄膜腫(開頭術)

聴神経腫瘍・頭蓋底髄膜腫(開頭術)

聴神経鞘腫
脳神経を包むシュワン細胞が腫瘍化したものが神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)で、なかでも頻度の高いものが聴神経鞘腫(ちょうしんけいしょうしゅ)です。聴神経には平衡感覚を司る前庭神経と、聴力を司る蝸牛神経とがありますが聴神経鞘腫は前庭神経から発生します。耳の奥の骨の中に囲まれた三半規管から前庭神経が生じ、蝸牛から蝸牛神経が発生します。これらの神経は骨のトンネルである内耳道を通ってから脳に入っていき情報を脳に伝えています。聴神経鞘腫が大きくなるのはこの内耳道という骨のトンネル内です。前庭神経から発生するものの平衡感覚障害(めまいやふらつきなど)が初発症状となる事はむしろ少なく、難聴で見つかる事が多いのが特徴です。

帝京大学で手術された聴神経鞘腫の方々の初発症状(過去10年間)

したがって耳鼻科の先生方からご紹介を受ける事も多い病気です。内耳道の中で徐々に大きくなって来た後は、脳の方に向かって成長していきます。非常に小さな段階で見つかったものは経過観察することも多いのですが1センチ以上の大きさになると内耳道から外に出てくるようになるため治療をお勧めしています。
内耳道内には前庭、蝸牛神経以外に、顔面神経が走っています。症状には現れにくいですが、腫瘍が大きくなると顔面神経を巻き込んできます。治療に当たっては、腫瘍を摘出する以外に、顔面神経を守る(温存)事が出来るかどうかが重要となってきます。

治療には①手術②放射線の2種類があります。腫瘍の大きさや画像の写り方、患者さまの御希望などを伺い方針を決定します。一般的には手術では腫瘍を摘出する事に重点がおかれますが放射線は腫瘍の増大を制御する事が目的となります。放射線では患者さまの肉体的負担は少ないものの、大きめの腫瘍や嚢胞成分の多いタイプでは適応にならず、照射後に一時的にせよ増大することがあり、また極めて稀ではありますが悪性化する場合があります。手術では腫瘍を出来るだけ切除しながら顔面神経を温存しなければなりませんが、実際には腫瘍に引き延ばされた顔面神経を見つける事は非常に困難です。従って手術に際しては術中モニタリングといって電気刺激を行ないながら顔面神経を同定し保護する方法をとっています。また腫瘍が小さめで聴力が残っているものでは聴力を温存できるよう配慮しています。

術前 術後

過去10年間の帝京大学での成績では、顔面神経温存率は84.6 %であり、術前有効であった聴力を温存できたのは38 %でした。

53歳男性。左突発性難聴にて発症
術後も有効聴力が保たれています。(下図)
術前純音聴力 術後純音聴力

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